暗いところで待ち合わせ

乙一の「暗いところで待ち合わせ」
乙一ファンの間では、「くらまち」と呼ばれたりしています。
映画化もされたのですが、設定の特質上小説でもぜひ読んで欲しい作品です。

主人公の女性は目が見えないのですが、ひとりで暮らしています。
一度外に出た時に怖い思いをして、それから引きこもるようになってしまいました。
そんな彼女のところで、殺人の冤罪で追われている男が奇妙な居候生活を始めます。
男は彼女が盲目なことを知っていたので、玄関のチャイムを押してドアが開いた瞬間に家の中に滑り込みます。
彼女は違和感をもちながらも普段通りに生活し、男は部屋の隅で音を立てないように座り、夜中に冷蔵庫のものを少し食べるという行動をとっていました。
食材の減りが早いことに首を傾げていた彼女は、棚の上から重い土鍋が落ちてきた時に誰かに庇われたことで、誰かがいると確信します。
それからもうひとり分食事を用意しておいてみると、男が向いに座って食べるようになり、暗黙の了解の存在として暮らすことになります。

それぞれ目が見えないことと、冤罪に向きあうことがテーマではありますが、心と心が触れ合うことのあたたかさが切々と描写されています。

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作家的な意味では、GOTHと夏と花火と私の死体の次に読んだ作品だったので、乙一の筆致の豊かさにまた驚くこととなりました。
じんわり心に染み入る話です。